この前唐突に連絡をもらって、あれよあれよという内にレビューすることになった「VARO VM75HE」。使っていくうちに実は結構実力者であることが分かりました。
ラピトリ自体は0.1mm単位と細かく刻まれてはいませんが、ガスケットマウントによる良質な打鍵感や打鍵音、8,000Hzポーリングレートやウェブドライバーなど近年求められているスペックにちゃんと答えています。
既にアークやワンズにて販売中ですので、思い立ったら購入できるというのも強み。
VARO VM75HEについて
VAROWORKSは韓国のカスタムキーボードブランド。HEとついた磁気スイッチモデルはおそらく今回が初と予想していますが、さすがに打鍵感や音に拘った仕事をしていますね。
Gateron Whiteスイッチはそこまで打鍵が良かった記憶がなかったのですが、ガスケットマウントの柔らかい底打ちもあってタイピングすると驚く心地よさ。
その点もあって、ホールエフェクトの精度・性能的にはスタンダードですが十分値段に見合ったおすすめできるキーボードとなっています。
ちなみに8,000Hzで入力遅延もかなり少ないとされていますが、個人的に数値で継続する機器を用意していないので割愛します。
- シンプルで落ち着いた見た目
- 0.1mmのラピトリ性能
- Gateron KS-20 Whiteスイッチ搭載
- 8,000Hzポーリングレート
- ガスケットマウントの打鍵感良し
- ウェブドライバー完備
外観とデザイン
カラーはブラックとシルバーとホワイトの3色が用意されていますが、日本ではシルバーは展開されていません。ブラックはアルマイト処理(アノダイジング)で、ホワイトはE-Coatingとなります。
ケースは6063CNCフルアルミニウム。ベースフレームとトップフレームの両方がアルミで、どっしりと構えます。このタイプは下からネジを外せば簡単に分解できるので好きなんですよね。
右上にはロータリーダイヤルがあり、キーが少ない代わりに音量調整やミュートなどが容易にできます。
チルトスタンドはなく角度は固定。スペックでは6度と評価されていました。高すぎず角度つきすぎず。
端子はUSB-Cですがセンターに位置しており、ややコイルケーブルなどは使いにくい設計。個人的には左端が嬉しいのですが、そこまでこだわなくても良い部分でもあります。
底にはウェイトプレートがはめこまれています。
分解してみた
トッププレートはFR4で、アルミとポリカーボネートの中間の硬さです。ガラスやエポキシ樹脂などの複合素材。
中間フォームはポロンフォーム、IXPEスイッチパッド、PCBの下には吸音材。
底の吸音材はかなり柔らかいです。
最下部には薄いフォームが敷かれています。
レビュー
VARO VM75HEの性能について見ていきます。
ガスケットマウントで打鍵感良し
ガスケットマウントの正体はこれ。上下にトータル8つのグレーのシリコンがはめこまれているのが分かりますか?
このシリコンのおかげで、キーを押し込んだ時にプレートとPCBごと沈み込んで柔らかい打鍵感を実現します。
ひとえにガスケットと言ってもシリコンの硬さやゴムの実装方法次第でピンキリですが、VM75HEのタイピングフィールはかなり良質です。押し込み自体はやや硬いんですけどね。
とても良いです。
キースイッチは普通
キースイッチにはGateron KS-20 Magnetic Whiteスイッチを採用。
スペックは以下の通り。
ストローク | 4.1±0.2mm |
---|---|
押下圧(イニシャル) | 30gf |
ファクトリーラブ | Yes |
打鍵寿命 | 100万回 |
ガスケット構造が上手くハマっているので打鍵感はとても良いです。
磁気スイッチは入れ替えが簡単なのも強みの1つですから、そのうち自分でスイッチだけ買って入れ替えてみるともっと面白い世界が待っているかも。
キーキャップは堅実に良い
VM75HEのキーキャップは最近では普通によくある形。良い意味で高品質です。
白ベースにネイビー印字で、かな文字とかイラストとかでゴテゴテしていないシンプルスタイル。
アルミケースのコーティングが少し青っぽい白なのに対して、キーキャップはやや暖色系のクリーム色に見えます。
ダブルショットPBTのサラサラとした触り心地で、汚れは目立たないので使っていてストレスを感じません。
プロファイルはGMKなどでお馴染みのCherryです。昔のキーボードはOEMばかりでしたが、最近はCherryをよく見かけるようになりました。
付属で2つ青色系のキーキャップがついてきたので、アクセントが足りないなと思ったら付け替えてもいいです。
0.1mmのラピトリ性能
- アクチュエーションポイント: 0.1~4.0mm
- ラピッドトリガー: 0.1~2.0mm
- 押し込みとリリースの分離可能
- キャリブレーション機能あり
ラピッドトリガーの精度をマイクロメーターでザックリと測ってみた数値は以下の通りです。こちらはあくまで私が検証した結果なので正確な絶対値ではなく、こんなもんか程度に見ていただけると幸いです。
平均値は0.126mmなので0.1mm設定に近いですが、押し込み位置によっては0.18mmみたいに少し高い数値が出ることがありました。
ウェブドライバー使用可能
ウェブドライバーで設定変更可能です。
DKS・Mod Tap・Toggle Keyといったノーマルな磁気キーボード向けの機能は実装済み。こういった機能を使えない磁気キーボードも実は結構あるので、あるだけで少なくとも嬉しい。
ただしプロファイルの切り替えキーがどこ探してもないっぽくて。これはアサインできるようにしてくれると嬉しいんですけどね。
SOCD設定も可能ですが、CS2をプレイしている方だとバンの恐れがあるので推奨しません。
使い勝手はWootilityなどに比べるとやや悪いものの、基本的には全く悪くないソフトウェアです。ポーリングレートなどの設定が見られないのだけちょっと謎だけどファームウェアアップデートもキャリブレーションもできますし、良いと思います。
動画でもチェック
総評とまとめ
VARO VM75HEはいつの間にか出てきていた印象でしたが、触ってみるとカスタムキーボードの出自らしく打鍵にかなりこだわって作られていました。
ラピトリの性能的には0.1mm単位でスタンダードですが、ガスケットマウントによる良質な打鍵感と音でワンクラス上のキーボードに感じます。
価格は29,800円なので絶妙な位置付け。Wooting 80HEは32,000円くらいだし、似たような打鍵感を得られるハイエンドキーボードは35,000円以上ともっと高くなっていきます。
全体的なバランスで見るとよく出来ていて、打鍵にこだわりたいけどそこまで高いお金を出すつもりもない方にはかなり良い塩梅な製品となります。
個人的にはですが…0.01mmラピトリか、0.1mmで打鍵感が優れているか、どちらを選ぶかといったら後者かな。何もゲームだけするわけじゃないですし、打鍵が良いと気持ちよく感じる時間が圧倒的に長いですよ。
とりあえずキーボード叩き始めたら気持ちええ〜〜ってなるんで。